多くのフェロー諸島の住民はゴンドウクジラ肉を食べなくなっている

«Many Faroese people have stopped eating pilot whale»

以下の文章は2013年9月に発行されたフェロー諸島マガジンに掲載された記事の一部の翻訳である。これは翻訳の翻訳であるため、文章は引用しないでほしい。

多くのフェロー諸島の住民はゴンドウクジラ肉を食べなくなっている

«Many Faroese people have stopped eating pilot whale» Source: Granskingarráðið

«Many Faroese people have stopped eating pilot whale»

フェロー諸島の病院の職業公衆衛生課の医長であるPál Weihe博士によると、ゴンドウクジラやイルカはすでに人間が消費するのに適さなくなっているという。フェロー諸島の人々は30年前に比べてかなりゴンドウクジラを食べなくなっている。

特に若い女性が食べるのを控えるようになっているし、多くのフェローの子ども達はゴンドウクジラ肉の味がどのようなものか知らなくなっている。事実、フェロー諸島の人々は、彼らの血中に含まれる水銀の量を調べる調査を反映して、伝統的といわれているゴンドウクジラの食事を拒否するようになっている。フェロー諸島の妊娠中の女性、子ども、若い人々に含まれる水銀の含有量は他の国々のどこよりも高いのだ。

この警告の裏にあるフェロー諸島の人々の食習慣を変えたという話は長く混沌としている。中心人物は医師と研究者であるPál Weihe氏で、彼は伝統的なゴンドウクジラ猟について大胆不敵にも否定的なことを言ったために批判されることとなった。

1980年代の中盤、Weihe医師は環境医学の教授であるPhilippe Grandjean 氏と共に働いた。彼らの目的は、フェロー諸島の子ども達が母親が食べるゴンドウクジラ肉によって害が及ぼされていないかを調査をすることだった。Weihe医師は、フェロー諸島の人々が何千年にもわたってゴンドウクジラを食べているので、その調査が害を及ぼす結果を導くとは思いもしなかった。

Leirvíkの女性の血液検査が行われた。女性達は20歳から50歳の間だった。彼女達の血中の水銀量は他国の同年代の人々よりずっと多かった。それからWeihe医師は、1986年から1987年の間に出産した1000人以上の女性の髪の毛と臍帯血のサンプルのテストを始めた。医師はフェローの新生児たちは、他国の新生児に比べて血中の水銀量が10~20%多いと結論づけた。

水銀量は母親が食べたゴンドウクジラの量と深く関係している。6歳以下の子ども達はもれなく検査をされた。そして出たのが、臍帯血で見つかった水銀量と子どもいくつかの異なる分野での成長との間に関係があるということだった。その指摘された分野とは記憶、言語、注意力だった。フェローの子ども達の臍帯血でのPCBとDDTの蓄積は、他のヨーロッパ諸国の子ども達の5~10倍以上高いということがわかった。これらの毒素を破壊するのは水銀よりも長い時間がかかる。そして、それは人の中枢神経システムや精子に影響を与えるのではないかという疑問が浮上した。

1997年に発行されたdietary recommendations(おすすめ食品)によると、妊娠中の女性はゴンドウクジラの肉や脂身を食べるべきではないといっている。この警告について誰もが揃って幸せなわけではなかったが、女性がこれを守るよう、すぐにガイドラインが作られた。

1982年の調査では、フェローの人が1日に12グラムのゴンドウクジラの肉と7グラムのクジラの脂身を食べた場合の結果を出した。2000年にWeihe医師は、再度妊娠中の女性にゴンドウクジラの摂取量についてたずねた。妊娠中の女性も含め、18年前に摂取していた人達の実に10人中9人が消費していないことがわかった。

Pilot whale meat (dark) and blubber (pink). Photo: Arne List

イルカ肉。Photo: Arne List

Weihe医師によれば、フェロー諸島の女性達はそういう意味では特徴的であるという。彼女達は、健康を犯す危険性については真剣に考える。臍帯血の調査はフェロー諸島の母親達にゴンドウクジラを食べないようにさせた。1986年には臍帯血から約24マイクログラムの水銀が見つかった。2000年にはその数字は12マイクログラムまで減少した。2009年にはその数字は4マイクログラムまで減少した。これは汚染された海産物を摂取しない国の人々とほぼ同じレベルだ。

今日、ほとんどのフェロー諸島の子どもはゴンドウクジラの肉も脂身も食べない。1986年生まれの子ども達は定期的に検査を受けていて、彼らの血中水銀の残量はほとんどない。しかし、母親の妊娠中にさらされた水銀汚染は今でも有害だ。研究では14歳から23歳までの子どもを対象に行われている。調査では、消極的であれいまだに子ども達は有害物質により中枢神経が侵されているという。

Weihe医師と他の国際的なリサーチャー達によって行われた調査は、何種類かの病気と健康被害がゴンドウクジラの消費と関係しているということを明らかにした。薬剤学の博士であるMaria Skaalum Petersen医師は有毒物とパーキンソン病の間に関係があると言っている。Petersen医師は、フェロー諸島では他の近隣諸国に比べてパーキンソン病の人は多くいるだろうと言う。2008年にはWeihe医師とフェロー諸島の医務部長が共に、ゴンドウクジラはもう人間が消費するものではないと言っている。「ゴンドウクジラに含まれる毒は減少していない。そしてこの生物学的な毒が長期間にわたり、どのようなダメージをもたらすのか、まだわかっていない。だから我々はゴンドウクジラが消費にふさわしくないと警告を与える権利があるという考えに至ったのだ」とWeihe医師。

時にはこの忠告に反対する激しい動きもあった。そしてWeihe医師は反逆者として責められもした。事実、Weihe医師は動物愛護団体の回し者だとも言われたし、彼の調査の信頼性を疑った者もいた。しかし、ほとんどのフェローの人々が彼の忠告を聞いたということは疑いようもない事実だ。やがて、Weihe医師は、自分達にはその権利があると主張しはじめる人達に気づいた。「事実、ゴンドウクジラの消費は明らかに減少した。ほとんどのフェローの人々は合理的に考える人達だから我々のメッセージを真剣にとらえたのだ」とWeihe医師は言う。

薬剤学の博士号をもつJónrit Hallingの行った新しい調査でも、若い人達はクジラの肉と脂身を食べる量が以前より少なくなっていると指摘している。彼女は無作為に選んだ大人200人のゴンドウクジラ食について聞いたところ、たった17%の人が月に一回以上クジラ肉を食べると答えている。ほぼ半数の47%の人が、ゴンドウクジラの肉や脂身をたまにしか食べないか、全く食べないと答えている。40歳以下の女性でクジラ肉や脂身を頻繁に食べると答えた人はいなかった。

これは過去には健康食に選ばれていたゴンドウクジラが、悪評判によってフェローの食卓から消えているいることを表している。

(翻訳:Kyoko Kiki Tanaka)

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