中国ーイルカとクジラの新たな悪夢

Beluga whales kept in a tiny pool approx 20 metres wide without daylight in Shanghai Changfeng Ocean World. Photo: Sasha Abdolmajid

海洋公園建設の拡大により、中国では囚われたクジラ目類にとって新たな悪夢が起きています。中国は、欧米と同じ過ちを繰り返さなければならないのでしょうか?

Beluga whales kept in a tiny pool approx 20 metres wide without daylight in Shanghai Changfeng Ocean World. Photo: Sasha Abdolmajid

上海長風海洋世界(Shanghai Changfeng Ocean World)で、日光の 入らない20メートル幅ほどの狭いプールに閉じ込められているベルーガ。 写真:Sasha Abdolmajid

KC Chau より

中国本土で増加する海洋テーマパークの需要により、さらに多くのイルカとクジラが利益追求のために囚われ、中国人客を喜ばせるよう訓練されています。利益目的の海洋公園は、「保護と教育」というありふれた理由を挙げています。しかしながら、新たに発表された調査では、動物虐待に関わることや不法行為の可能性について記述しています。科学者を含む動物の権利支持者たちは、そんな「娯楽と教育」に対し、動物にもっと適した代案があると主張しています。

今日、中国本土には海洋公園が39カ所あります。そして新たに、14カ所が建設されています。最新の論争は、広州のショッピングセンターが開園した正佳海洋館(Zhengjia Sea World)を巡って起こりました。中国の水族館では、11種からなる500頭近くのクジラ目類を所持しており、その半分は、過去5年間にわたり日本の太地町ロシアのオホーツク海で捕獲されたものです。それゆえ、イルカやクジラを収容する施設の需要拡大は、その地域に生息する野生のクジラ目類にとって大きな脅威となっています。

2014年、台湾と香港は国際専門家や活動家、中国本土からの同志を集め、China Cetacean Alliance(CCA)を設立し、クジラ目類の水族館収容が残忍であることを一般的に広く伝えるための活動を行いました。CCA調査団は、6ヵ月かけて中国にある14カ所の海洋公園の現場視察を行いました。CCAは12月、海洋動物収容監禁の是非を巡る国際会議の直前、CITES(Convention on International Trade in Endangered Species of Wild Fauna and Flora『絶滅のおそれがある野生動植物の種の国際取引に関する条約』、または『ワシントン条約』と呼ぶ)や他の公共情報源を参考にした上で、『中国のクジラ目類収容監禁産業についての調査レポート』を発表しました。

ナオミ・ローズ博士 (The U.S. Animal Welfare Institute海洋哺乳類学者、CCA設立メンバー)は、「自然環境の中でクジラ目類は、一日平均して160キロメートルの距離を泳ぎ、300メートルの深さまで行くことができる。しかし、中国の海洋公園の平均的なプールの大きさは、深さ6メートル、幅は15メートル、長さは20メートルで、複雑な行動に必要な安全性を確保するのに適していない。しかも、強制的なパフォーマンスや騒音によるストレスは、囚われたクジラ目類にとっては拷問のような精神的苦痛を与える」と説明しています。

「疑いの余地なく、台湾と中国の施設が提供する生活状況は、国際標準を下回っている」と  ローズ博士は続けます。調査レポートによると、中国の法律制度では「動物の権利」の定義があいまいであり、一般的に入手可能なクジラ目類の輸入数の情報や出生と死亡数のデータベースも乏しいと指摘しています。それ故、クジラ目類がこの国で保護されているとは決して言えません。

更にローズ博士は、「収容環境は、プールは狭く屋根がなく角が鋭く、騒がしい環境や孤独はまるで塩素水でできた拘置所のよう」と言います。それはイルカに大きなストレスを与え、プールの門の鉄棒を噛んだり、頭を壁に打ちつけたりなど自傷的な行為を引き起こします。しかし、このような情報は、イルカ水族館、またはイルカパークからは決して公表されることはありません。レポートによると、水族館らは代わりに「イルカは、人間と交流するのが好き」や「彼らは観衆を楽しませて喜んでいる」など誤ったメッセージを用いて集客を行っています。

イルカパークの目的は明らかに、彼らが主張する「教育」ではありません。利益追求なのです。中国本土で娯楽産業は大きく成長しています。例えば、中国本土に6カ所の海洋パークを持つ中国最大施設であるHaichang Ocean Park Holdings(海昌海洋公園控股;香港ハンセン株価指数HIS:2255)は、毎年1000万人以上を集客しています。2014年度の利益は1億9200万RMB($29.200.000)、前年比で77%の増加となりました。

Visitors pay to have their photographs taken with dolphins at Hangzhou Polar Ocean Park. The dolphins must hold this pose for many minutes during these sessions. Photo: China Cetacean Alliance

杭州極地海洋公園(Hangzhou Polar Ocean Park)で、お金を払ってイルカと一緒に写真を撮る観光客。イルカは何分もの間、同じポーズを保たなければなりません。
写真:China Cetacean Alliance

また、調査過程で明らかになったのは、Chimelongという別の有名企業が、自社が所有する広東 のOcean王国のために絶滅危惧に瀕するシャチを7匹購入しました。しかし、CITESの取引データベースには2頭の登録しかされていません。CCAは政府に対し、これは違法な取引であったのではないかと調査を迫っています。

台湾で囚われているクジラ目類も同様に悪夢に見舞われています。囚われたクジラ目類は、小さな古びた施設4カ所に収容されています。ナオミ・ローズ博士は、特に、台湾花蓮県の遠雄海洋公園(Farglory Ocean Park)について言及しており、「おそらく私が今までに見た中で一番騒がしいイルカショーである」と述べています。

2002年以後、遠雄海洋公園はイルカを17頭輸入しており、そのうちの9頭が虐待により亡くなったとされています。台湾動物社會研究会(Environment and Animal Society of Taiwan、EAST)は、遠雄海洋公園と野柳海洋世界(YehliuOcean World)を「動物搾取工場」としています。

イルカショーは常に、事実を何も知らされていない観客にとってはすばらしい娯楽です。イルカの外見上に見られるかわいらしい笑顔や行動からは、度々、厳しい環境で苦しんでいるという事実が歪められてしまいます。

2013年、香港海洋公園で飼育されていた当時14才バンドウイルカのPinkyが、プールの壁に繰り返し体をぶつけるという典型的な自傷行為の事実があったことが撮影されました。経営者側は悪評を和らげようと「それはPinkyが遊んでいる時の行動」 と主張しましたが、このスキャンダルにより、香港初の民衆による反クジラ目類拘束キャンペーンが行われました。

2003年以降、1000万人以上の中国人観光客が香港海洋公園の入場チケットを購入しており、その数は総売り上げの半分にまで及びます。サミュエル・ホン博士(Dr. Samuel Hung)(Hong Kong Dolphin Conservation Society会長、キャンペーンを代表する科学者の一人)によると、香港海洋公園は中国の二の舞であることを表す一例である、と懸念しています。ホン博士は、香港海洋公園がイルカショーを宣伝するために「飼育されたイルカは野生のイルカより長生きする」など誤った情報を流していることを指摘しています。

ほとんどが企業によって所有されている中国本土の施設と違い、香港海洋公園は寄付により成り立ち、その最大の出資者は香港政府です。ホン博士は、この施設の運営倫理の一つである「保護」という言葉を利用し、イルカ監禁を推進しないで欲しいと訴えます。

また、ローズ博士は、「香港海洋公園は明らかに中国本土に悪影響を及ぼしている」としています。香港海洋公園は、業界の先導者として動物が苦しまない代案を見出すべきであり、例えば、最新のCGI、アニマトロニックス、バーチャルリアリティーやIMAX三次元シアター技術などを駆使することができます。ローズ博士は最後に、「時代遅れのサーカスショーを見ることは、現代の若者にとっては退屈なことです。20世紀に留まるのではなく、そろそろ21世紀に進むべき」と述べています。

結局のところ、中国人観光客が中国本土や香港、台湾のイルカ水族館やイルカテーマパークに殺到することで、囚われた動物たちが提供しなければならない娯楽が急増していると言えます。近年増えている欧米の動物の権利を主張する動きによりクジラ目類の水族館収容が減っている中、中国はどのような道を辿るのかという疑問が残ります。

中国の人たちは、動物を苦痛にさらしてまで娯楽を得たいのでしょうか。ローズ博士や中国の動物愛護活動家の返事は明らかに「ノー」です。中国はこれ以上のクジラ目類の犠牲を生み出さないために、初めの一歩を踏み出しました。

翻訳・Klaus Cheng / Midori Takahashi

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